建設業の許可を取得するためには5つの要件を満たす必要があります。どのような要件を満たせばいいのでしょうか。5つの項目に分けて見ていきたいと思います。まず、並べてみます。
①経営業務を管理するための要件
②専任技術者の要件
③誠実性の要件
④財産的基盤の要件
⑤欠格性の要件
それでは一つずつ確認をしていきたいと思います。

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①経営業務を管理するための要件

 建設業の許可を得て会社を運営していくためには、その運営法についてきちんと責任を持ちながら事業を展開していくことが必要ですね。一つあたりの工事単価が高く、人々の日々の生活に直結していくものを「つくる」仕事ですので建設業の会社を経営していくことについての経験や実績のある人が責任者になることが望ましいと言えます。このような要件を「経営業務の管理責任者」と言います。個人事業主の方であればご本人が該当している必要があります。法人であれば常勤役員のうちの一名が該当している必要があります。社長が兼ねることもできます。この経営業務の管理責任者となるためには次に述べるいずれかの要件を満たす必要があります。
㋑許可を取得したい業種に関して5年以上の経営業務管理を経験
㋺許可を取得したい業種以外に関し、7年以上の経営業務管理を経験

 建設業と言っても多様な工事の種類があります。現在29業種に分けられている許可の種類のうち、自分が取得したい業種を選んで許可申請することになります。現在、外構工事を営む事務所を経営していて庭まわりやガレージまわり、門扉等に関する仕事を担っている場合には「造園工事(園)」という業種で許可申請ですね。外構工事の会社なんだけれども油圧ショベルやバックホウ等の掘削用建設機械を所有し、土木工事も請負っているのであれば「とび・土工・コンクリート工事(と)」あるいは「解体工事業(解)」での申請も可能であると思います。経営業務の管理責任者となるためにはそれらの工事をする会社の経営経験が5年以上もしくは7年以上必要となってきます。そしてこの経営経験を証明するための書類を集める必要があります。その書類を集めて経営業務の管理責任者となれる人が常勤で勤務していることも必要となります。

②専任技術者の要件

 建設業許可の要件としてつぎに「専任技術者」の要件があります。許可を取りたい業種についての専門性を持ち合わせている技術者が在籍しているかということが問われてきます。建設業の仕事は請け負った仕事に対して専門性を発揮しながら工事を遂行していかなければなりません。目の前の工事をきちんと施工するためには一定の水準を確保した技術力と専門性を備えた人が必要です。その専門性を持っている人が在籍している会社であれば建設業の許可が取得できます。
 この専任技術者は許可を受けようとする業種ごとに配置する必要があります。一人で複数の業種について専任技術者となることもできます。経営業務の管理責任者となる人が専任技術者を兼ねることもできます。また、専任技術者となる人は常勤の社員であることが条件となります。専任技術者としての条件をまとめますと以下のようになります。

㋑許可を取りたい業種について指定された国家資格等がある。
㋺許可を取りたい業種について指定された学科のある高校又は大学を卒業してから実務経験がある。
㋩許可を取りたい業種についての実務経験が10年以上ある。

㋑国家資格等

 建設関係の免許を取得されている方はけっこうおられます。しかし専任技術者として認められるための資格をもっていないとこの条件が満たされないことになります。具体例を少し挙げますと、2級管工事施工管理技士の資格があれば「管工事」の専任技術者に、2級建築士の免許証があれば「大工工事」「屋根工事」「タイル・レンガ・ブロック」「内装仕上工事」の専任技術者となることができます。

㋺指定の学科を卒業+実務経験

 高等学校の指定の学科を卒業していれば5年以上の実務経験があれば専任技術者になれます。また、大学の指定学科を卒業していれば3年以上の実務経験で専任技術者になれます。高等学校の指定の学科とは主に工業系の学科が該当するかと思われます。もしご自身が工業高校出身であれば該当しているかもしれません。大学の指定学科とは主に工学部または理工系の学部が該当してくるかと思います。この場合は3年以上の実務経験の証明で専任技術者になることができます。

㋩実務経験10年以上について

 専任技術者となるための資格や免許がなく、工業系の高校や理工系の大学を出ていない場合には、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を証明する必要があります。具体的には10年間分の実務経験を書面で証明する必要があります。
 その実務経験を証明するために必要となる書面とは請負い工事の請求書や契約書の原本が該当することになります。それ以外だと、10年分の契約があったことを証明するために預金通帳で入出金が確認できる通帳原本が該当します。この10年分の書類等をかき集めることが必要になります。何とかして10年分を集めましょう。

③誠実性の要件

 建設業の現場とは人々の安全に直結した構造物をつくったりする仕事です。不正工事や施工不良などがあれば事故につながってしまう場合があります。なので不正工事や施工不良を頻発するような業者に対してはお国が許可を出すことができません。許可を受けるためには「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」と建設業法にも定められています。

・過去に許可を受けていたがそれを取り消されて5年未満
・営業停止処分を受けて現在も営業停止中である

上記の様な行政による何らかの不利益な処分を受けていなければこちらの要件は大丈夫かと思われます。

④財産的基盤の要件

 建設業の許可を受けるためにはお金が必要です。その会社がお金を持っていて健全に経営されているのかという点がポイントとなってきます。ではそのお金の点とはどういうものでしょうか。

・500万円以上の自己資本がある
 こちらについては直近の決算書で証明することができます。その決算書にある純資産合計額が500万以上あれば大丈夫です。
では、その項目に500万以上無い場合はどうしましょうか。

・500万以上の資金を調達できる能力があることを証明
 上記の決算書の純資産額が500万に到達していない場合や会社を新規で創業したばかりで決算書がまだないという場合は、500万円を調達できる能力があることを証明する必要があります。方法は会社名義の銀行口座に500万用意し、それについての残高証明書を発行してもらいます。建設業許可申請の際は残高証明書の有効期限にご注意ください。たいていの場合は許可申請日から一か月以内と設定されています。

⑤欠格性の要件

 ・成年被後見人もしくは被保佐人ではないこと
 ・破産者で復権を得ないもの
 ・禁固以上の刑に処せられ、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しないもの
 ・建設関連の法令に関し、罰金の刑に処せれれ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しないもの

 上記の場合が該当するかと思います。誠実性の要件で挙げられた部分と被る部分もあるかと思います。法人として申請する場合に、役員の中に上記に該当する人がいると許可が下りません。その場合役員を変更してください。変更して一般社員として在籍する場合には問題にはなりません。

まとめ

 建設業の許可に関する要件について確認をしていきました。今回は大まかに記しました。大体の概要を知ってもらえたらいいなと思って書いています。各要件については申請場所、管轄の行政庁によって申請の方法や要件の解釈が異なってくる場合も考えられます。その場所ごとのやり方、方法に合わせて申請をすることをおすすめいたします。

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