前回は海事代理士試験の独学について教材の準備等を書いていきました。今回は筆記試験対策について書いてみたいと思います。おおまかにはマニュアルの使い方、六法の使用法、テキストの使い方をまとめたいと思います。

Contents

筆記試験対策

海事代理士試験では筆記試験の合格基準として

・筆記試験20科目の総得点240点の60パーセント以上の得点をあげた者。
 ※ただし、全科目受験者の平均正答率が60パーセントを上回る場合には平均正答率以上の得点をあげた者。

と、国土交通省のホームページに記載されています。平成30年度の試験だと平均正答率が64.18%でした。令和元年度については62.75%と発表されています。問題の難易度により年度によって平均正答率にばらつきはでるものの、65~70%の得点が得られれば一次試験はクリアできるのではないかと思われます。なので70%の得点を得られるように対策を立てていきましょう。

 70%の得点を得るためにはどうするかというと前述した合格マニュアルをきちんとマスターすれば大丈夫だと思います。 しかし新たに追加された「領海等における外国船舶の航行に関する法律」及び 「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」についてはマニュアルに掲載されていませんので別個に対策が必要です。それらについても触れていきたいと思います。

マニュアルの使い方、解説の書き込み 


 このマニュアルの内容をきっちりマスターすれば70%の得点は得られると思います。しかしこのマニュアルですが、過去5年分の過去問が掲載されていますが問題に対する解説がありません。理解できた問題はいいとして、間違えた問題に対してなぜ間違えたのか?ということが解説されていません。ではどうするかというとここで六法が登場します。自分で六法を調べてマニュアルに解説を書くのです。

 この様にわからなかった問題、できなかった問に対して自分で調べた内容を書き込んでおくと2回目、3回目に問題を解いたときに自分で調べた内容を思い出すことができ効率的です。マニュアルには解説がないので自分で解説を書き込みましょう。

マニュアルを用いた学習の進め方

 それでは具体的にマニュアルの使い方を書いていきたいと思います。ここでは私が実践したやり方を書きます。これが正しいかどうかはわかりませんがこのやり方で本試験は82%の得点を得られました。参考にしてみてください。

1 海事代理士必修テキスト(海事代理士試験研究センター)を一科目読む

2 その読んだ科目に対応する部分のマニュアルを解く

例)テキストの憲法を読んだら次にマニュアルの憲法を解く 

  ↓

  テキストの民法を読んでからマニュアルの民法を解く

こんな感じで最後の国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律までマニュアルを一度やりきってください。その際、テキストでもわからなかった部分については六法を調べるなりしてマニュアルに自分だけの解説を記入していきましょう。一度このように苦労しながらマニュアルをやりきると二度目に取り掛かったときに楽になります。

問題集は繰り返してこそ力になる

 一回目に自分で解説を書き込みながらマニュアルをつくり上げているので二回目は少し楽になります。その二回目でもわからなかった問題はその都度テキストや六法をつかって調べてください。これの繰り返しでとりあえず6回くらいマニュアルを解いてみてください。繰り返すことで3回目より4回目、4回目より5回目とだんだん問題を解くスピードが増していきます。マニュアルを解くのと並行してテキストの読み込みもやってください。海事代理士試験は法律の条文に穴をあけてきてその部分を問うてくる問題が多いです。テキストを読み込むことが結果的に重要条文を読み込むことにつながります。

できなかった問題をつぶす

 マニュアルを5.6回解いたところで問題の全部を覚えられるわけがありません。何回解いてもできない問題、間違える問題があります。次はそれらを重点的につぶしていきましょう。

 私の場合、6回マニュアルを解いた段階でもできない問題がありました。次はできなかった問題だけ重点的に繰り返しましょう。方法としては、写真のようにできなかった問題に付箋を張り付け、付箋のついた問題だけ5.6回繰り返していきましょう。できなかった問題だけ繰り返すことでそれができるようになっていきます。頑張りましょう。なお、並行してテキストの読み込みは続けましょう。

再度マニュアルの繰り返し

 できなかった問題だけ重点的に取り組むことで、それができるようになっていきます。付箋の数も減ってきたはずです。この段階まで来たらあとは再度初めからマニュアルを繰り返し解いていくだけです。試験日までできるだけマニュアルを繰り返しましょう。できていた問題でも付箋の張ってある問題だけ繰り返し取り掛かっている間に忘れてしまうこともあります。なので初めから全部の問題を繰り返し学習しましょう。試験日までこの繰り返しあるのみです。

マニュアルの第Ⅲ章にある口述試験用問題

 口述試験に出題される4科目について、マニュアルの第Ⅲ章に過去に出題された試験対策問題が掲載されています。8月くらいからこの問題も解いていきましょう。この口述試験用問題に触れることで筆記試験の4科目「船舶安全法」「船員法」「操縦者法」「船舶法」の理解度が増します。この4科目だけで80点のウエイトがあります。この口述試験問題に触れることを是非お勧めします。この段階では口述試験を見据えた対策ではなく、この問題に触れる程度でいいと思います。口述試験対策は筆記試験が終了した翌日から取り掛かれば間に合います。

新たに追加された科目の対策について

 令和元年度に新たに「領海等における外国船舶の航行に関する法律」及び 「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」の二科目が試験に追加されました。全部で18科目であった試験が20科目になりました。9時に開始して17時まで続いた試験の終了時刻が17時40分まで伸びました。なんで科目を追加するねん!と一人で突っ込んでもどうしようもありません。対策を立てるしかありません。でもどうやって対策を立てたらいいのかわかりません。マニュアルにも過去問にも載っていません。私がとった対策を書いておきます。

「領海等における外国船舶の航行に関する法律」

海上保安庁のホームページにこのような案内がありました。

領海等における外国船舶の航行に関する法律ー海上保安庁

これを印刷して試験日まで何度か読み込みをしました。それとプラスしてこの法律の条文は全部で13条しかありませんからひたすら条文を読み込みました。これだけで本試験は8割取れていました。初年度なので簡単だったかもしれません。

「船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律」

国土交通省のホームページに報道発表としてこのような案内がPDFでありました。

報道発表(PDF形式)

概要(PDF形式)

 これを印刷して本試験までに繰り返し読み込みました。なお、この法律の条文は51条まであります。たった10点のために51条もの条文を読み込むのは効率的ではないと判断し、報道発表の資料のみを見ていました。この資料のみで本試験で7割取れていました。こちらも初年度なので簡単だったのかもしれません。

まとめ

 筆記試験対策について長々と書いてみました。この試験についてはマニュアルをしっかりとやっておけば7割は取れると思います。6割以上かつ平均点以上得点できれば一次試験に合格できます。あえて言うのであれば、この試験はマークシート式ではなくほとんどの問題が用語を解答用紙に書き込む記述式なため、語句を正確に覚える必要があります。でもマニュアルを繰り返せば大丈夫だと思います。

 各科目ごとの対策についてや、口述試験対策については後日書いてみたいと思います。それでは今回はこのへんで。読んでいただいてありがとうございます。