筆記試験合格発表もつかの間に、口述試験を迎えるわけです。この試験は例年落とさない試験と言われていました。しかし、過去には平成28年度76.88%、平成27年度69.46%、平成24年度60.38%と高いとは言えない倍率の年度がありました。一次試験に通過した人々は少なくとも勉強してきた人たちでしょう。その人たちの中の3割近い人数が落ちてしまったということは、これは油断のならぬ試験と見なすしかありません。今回は口述試験対策について触れたいと思います。

Contents

口述試験の合格率について

 冒頭でも触れましたが、口述試験は落とさない試験と言われています。しかし油断は禁物です。合格倍率を抜粋してみますと平成11年度(50%)、平成14年度(62.77%)、平成21年度(71.02%)、平成22年度(68.33%)、平成24年度(60.38%)という様に低率の年度が見受けられます。一方で、平成29年度(98%)、平成30年度(92%)と、ここ二年間は高い倍率で推移しました。筆者も当日を迎えるまではこの高い水準が続くものだろうと勝手に思い込んでいました。今年度、ふたを開けてみると合格倍率は60.6%でした。口述試験だけで受検者の6割ほどしか合格できませんでした。これはもはや口述試験は絶対になめてはいけない試験だということです。しっかりと対策を立てたいところです。

口述試験対策に使う問題集

 マニュアルの巻末に口述試験対策用の問題があります。しかし、もはやこれだけに頼ることができません。これだけでは足らないと思います。そこで筆者が準備したものは

 こちらになります。特定非営利活動法人Real海事代理士試験研究センターというところから出されています。これを一冊丸暗記することに努めました。とりあえず最初のページから通しで9回読み込みました。9回やっても覚えられない問題には付箋を貼りました。

暗記用大判単語カード

 次に付箋のついた問題だけ重点的に繰り返して覚えていきます。その問題だけ12回ほど繰り返して学習しました。それでも記憶できない問題はあるわけです。通しで9回、重点的に12回やっても記憶できないでどうしたものかと思案していたところ、筆者が所属する行政書士会藤岡支部の支部長様が
「暗記用カード」というものがあると知らせてくれました。それどころか「OPA高崎にある東急ハンズに売ってた」と、買ってきてくれました。


 大変ありがたいですね。早速活用しましょう。どうしても覚えられない事項についてはこのカードに書き込んでいきましょう。書き込むことが目的ではありません。書き込んだら活用します。

問題:船舶法、「船舶国籍証書を管海官庁に返還しなければならない場合」

・船舶登録を抹消したとき
・船舶国籍証書の書換により、新しい船舶国籍証書の交付を受けた場合
・外国の港に碇泊中、又は外国に向かって航行途中に船舶国籍証書が毀損したり船舶国籍証書記載事項が変更したことにより仮船舶国籍証書の交付を受けた場合
 よく、二つ答えよ、一つ述べよとか過去問にある場合はそのうちの一部だけ覚えるのではなく、模範解答にある解答例は全て覚えたほうがいいと思います。
30年度に「二つ述べよ」として出題された問題が今年度「すべて述べよ」というスタイルで出題された船舶法の問題が出ました。案の定二つしか解答できませんでした。

 さて、カードに覚えられていない問題の書き込みができたらそれを毎日繰り返しやりましょう。それと並行して口述マスターを最初から何度も繰り返し試験当日までに取り組みましょう。

口述試験問題の学習の仕方

 この試験は試験官が口頭で問題を出題します。それについて解答者は口頭で答えを述べる必要があります。問題を見て答えを頭で整理して記述するスタイルと異なり、問題を耳で聞いてそれを頭で整理して口から答えを発するという試験方法です。各科目ごとに試験時間は3分間です。その3分で5問の問題に口で解答する必要があります。そうです、時間がとても短いのです。頭で考えているうちに時間が刻々と過ぎ去っていきます。試験官から出された問題を耳で聞いて反射的に答えが口から出るように訓練する必要があります。本番はとても緊張します。頭でわかっていても答えがでてこないぞ???という状態になりやすいです。いくら対策を積んで臨んだとしても緊張がゼロであるという人はいないと思います。そのために解答がすぐ言えるように普段から練習しましょう。

 練習の方法は、筆者の場合は問題を見たら答えを口で発することを繰り返しました。問題を見てぶつぶつと口頭で解答を発するのは少し気恥しい気もします。図書館やファミレスでは無理でしょう。会社の勤務中などの隙間時間を有効活用したいとこでしょうが一人でぶつぶつ言ってるとどうなんでしょうか。まわりの理解が得られれば可能でしょうが、自宅でぶつぶつ言いながら練習してください。それとパートナーや友人を活用するのも良いと思います。誰かに問題を読んでもらい、それについて口頭で解答するってことが可能であるならばやったほうがいいでしょう。これは絶対効果的であると思います。

海事代理士会主催口述試験直前対策セミナー

 日本海事代理士会主催の試験対策セミナーというものがあります。試験前日に開催されています。今年度も開催されましたので参加をしました。内容は

「 日本海事代理士会所属の海事代理士が試験官役となって口述試験の実体験を繰り返し練習いたします。
 試験当日に雰囲気にのまれて実力が発揮できない受験生もおられますので、自信をつけて臨まれるように指導いたします。」
↑海事代理士会ホームページより抜粋

 試験当日の雰囲気が体験できるなんてすばらしい企画じゃないですか!実際に参加してみると本試験さながらの雰囲気で口述試験の体験ができます。また、その場で解答について指導もしてくださるのでとても有意義です。口述試験に臨まれる方はぜひ参加してほしいと思う企画でした。
 この企画で知り合いになった受験仲間ができました。名前の掲載許可を頂いていないのでY氏としておきます。本物の海の男です。口述試験日にこのY氏と一緒に試験に臨むことができました。いろいろ情報交換もできました。当日の問題の中身についての情報は交換できません。今日に至るために取り組んだことや互いの学習方法についての情報交換です。試験後に受験番号を交換し合い、一緒に合格しましょうと激励しあっただけです。後日、互いの受験番号が官報に記載されているのを発見したときはホッとしました。

まとめ

 せっかく一次試験を通過できたので、最終合格をしたい!
 再び国土交通省で口述試験を受けるなんていやだ!
 はやく海事代理士になりたい!
 海の女になりたい!海の男になりたい!

 という方は口述試験対策をきちんとやりましょう。それと過去3年分の口述過去問には目を通しておきましょう。今年度は30年度に出題された問題の焼き直しが多く出ていました。

 今年度は過去に出題された問題もありましたが、新たに出された問題や、視点を変えて出された問題が多かったような気がします。しかし、基本事項を確実に押さえておけば6割は解答できると思います。相対評価ではなく6割越えという絶対評価のスタイルです。わからない問題、難しい問題は
「次お願いします!」と言えば次の問題を出題してくれます。
わからない問題にひっかかるより次の問題に行きましょう。時間があれば試験官の方はわからない問題を再出題してくれます。できるところで確実に点を拾いに行きましょう。6割越えでいいんですよ!
 次回以降は筆記試験当日や口述試験当日について書いてみたいと思います。